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システム導入前に考えておきたいこと

最近街中では、今まで人間がやっていた仕事を機械・ロボットを用いて、自動化している様子を多く目にするようになりました。スーパーやコンビニなどのセルフレジや、ファミリーレストランでの配膳ロボットなどです。こうした風景は労働人口が減少し続ける日本では今後も増えていくことが予想されます。

こういった機械・ロボットを使った自動化は少人数での業務遂行や工数削減といった目的で行われることが多いですが、実際はあまり使われていなかったり、スタッフが付きっきりで教えている状況が見られたりと、効果があまり得られていないケースもよく見かけます。

これらはビジネスシーンにおいても同様です。機械・ロボットに加えて、ビジネスの場面では、RPAなどによる業務のシステム化も進められています。しかし、少人数での業務遂行や工数削減といった効果を得るために自動化できるシステムを導入したとしても、当初の期待ほど効果が得られたという事例は多くないように感じます。

実際に私が担当した多くのお客様でも、過去に数ヶ月・数年かけて業務効率化を目的としたシステムを導入したにも関わらず、「使いにくい」「今までのやり方のほうが慣れている」といった理由で利用者が一部に限定されてしまった、という事例をよく聞きます。

実際に期待する効果を出すためには、以下の3点を徹底することが重要です。
①常に導入目的を意識し、そこに立ち返ること
②目的に沿って関連する業務全体を見直すこと
③目的を利用者に広く周知して共感を得ること

①システム導入に向けて業務要件やシステム要件を具体化する際、枝葉末節な検討にのめり込んでしまい、本来の導入目的を見失いがちです。また、システム導入後についても、システム利用者の声を反映して改善しようとすると、どうしてもパッチワーク的な都度作業となりますが、本来の導入目的に立ち返って、その作業の要否や優先度を判断することが重要です。そのためにも、例えば「工数削減」などの漠然とした表現ではなく、できるだけ「□□業務を削減する」「△△業務の所要工数を○○%削減する」といった粒度まで目的を具体化し、判断しやすくしておきましょう。
②「関連する業務全体」とは、システムを利活用するための業務プロセス、ヘルプデスクや操作教育などの支援体制、承認階層などの各種規程といった要素を指します。システム導入のタイミングでこれらを見直すことで、導入効果が得られやすくなります。
③システムを使いたいと思う人が増えるほど、そのシステムは形骸化することなく実務に定着していきます。そのためには、②の業務見直しだけでは不十分で、その導入目的や目指す姿を利用者に広く啓蒙し続け、「使いたい」と思わせ続ける取り組みも必要です。

ITIDでは、様々なシステム導入において、上述のとおり、業務プロセスの再構築や利用者への啓蒙や教育を含めた全体支援を行っております。

機械やシステムは工数削減や品質向上のためのツールの一つに過ぎません。機械やシステムを導入すること自体を目的にするのではなく、「利用者の業務をいかに助けられるか」という観点で、改めて目的や目指す姿を考え、業務全体を見直してみましょう。場合によっては、システム導入よりも目的に適した一手があるかもしれません!

シニアコンサルタント 上原 惇

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